

いまだに「億シヨン」といわれる高額マンションでも、窓は低性能なアルミサッシが使われています。
我が国でも京都議定書が発効(二00五年二月一六日)し、省エネ対策をより緻密に進める必要がでてきました。
その中で断熱にとって窓の重要性が少しずつ認識されてきたのです。
そのような経緯から、アルミサッシに固執してきた大手サッシメーカーもマンション、ビル用複層樹脂サッシの製造・販売に動き始めています。
さて、サッシの断熱性能も枠だけでは不十分です。
結露は窓そのものにもびっしりとつきます。
これは、窓のガラスが外の冷気を室内に伝えていることを示しています。
窓ガラスの断熱性能も上げなければなりません。
そこで考えられたのが、複層ガラス(ペアガラス)です。
窓ガラスを外側に一枚、内側に一枚、二枚だてにして、その聞に断熱性の高いガスが充填されました。
さらにLow-Eと呼ばれる、夏期の熱い太陽光線をさえぎる(冬の入射熱を逃がさない)機能がついた複層ガラスもあります。
このような最先端サッシが既存の三分の一の住宅に導入され、新築で八0%に使用されたとすると、年間一八三万トンの二酸化炭素が削減されるという、樹脂サッシ普及促進委員会による試算があります。
これは家庭や職場で照明をこまめに消したりエアコンをガマンしたりする省エネ効果とは比べものにならないほど大きいもので、同委員会では政策面での誘導策(利子補給制度など)が待たれると報告しています。
二酸化炭素削減は、言い換えれば「光熱費の節約」ということです。
家計を助け、地球環境を助けるカギが「窓」にある、というわけです。
いずれにしても、窓ガラスの断熱性能は画期的に向上しました。
断熱だけではなく、外から入ってくる騒音の防止という意味でも、新しいサッシは非常に優秀な性能を示すようになりました。
現在では、ペアガラスの樹脂サッシがなければ外断熱も成り立たないほど、必要不可欠な設備となっています。
マンションの冷暖房といえば、エアコンです。
暖房では、ガスストーブという選択もあるでしょう。
しかし、躯体コンクリートの蓄熱を利用する外断熱マンションでは、このような急激に熱したり冷やしたりする冷暖房システムはあまり向いているとはいえません。
繰り返すと、外断熱マンションの最大の特徴は躯体コンクリートの蓄熱作用が冷暖房エネルギーのサポートに活用できる、という点にあります。
熱すれば熱するほど熱を蓄え、冷やせば冷やすほど冷たくなるコンクリート(躯体)が室内側にあり、それを外側で服を着せるように断熱材でおおうのが外断熱です。
したがって、冷暖房でいったん部屋が快適な温度になり、躯体コンクリートの温度がその室温と同調すれば、真冬や真夏でもほとんど小さな冷暖房エネルギーで十分となります。
このような状態を維持するのが、外断熱の住まいにおいて最も効果的で効率的な冷暖房といえるわけです。
従来のエアコンやストーブは、内断熱や無断熱のマンションでは、室内をすぐに暖めたり冷やしたりする意味で効果的でした。
しかし外断熱マンションでは、さらに暑くなりすぎたり冷えすぎたりして、使い勝手があまりよくないのです。
エアコンやストーブから出る熱は「放射熱」、石焼き芋の石から出てくるような熱は「輔射熱」といいます。
外断熱マンションの暖房は輔射型のほうが心地よいということになります。
床暖房は輯射熱ですから、それだけで部屋を暖めようとすると内断熱や無断熱の建物ではかなり時間がかかります。
外断熱マンションでは、ふつうの床暖房では室内が暑くなりすぎて、やがて消してしまうケ−スも多いようです。
外断熱マンションでは真冬に暖房を切っても、躯体コンクリートの温かきから床や壁がなんとなく人肌程度に温かいので、住んでみると無理に床暖房にする必要がないということがわかるのです。
このような意味で、外断熱マンションの快適性能、あるいは省エネ性能を最も大きく発揮するものとして、現状ではパネル冷暖房システムが最適とされています。
欧米では、マンションの暖房といえばパネルヒーターです。
セントラル方式で各戸の室内に設置されたパネルにお湯を通し、その熱で室内を温める方式です。
欧米のホテルやマンションでパネルヒーターを見たときに日本人が驚くのは、パネルがぜんぜん熱くないということです。
手で触れても、ほんのり温かい程度です。
そんなぬるま湯でも二四時間休みなく全館にお湯が通りつづけていることによって、雪がしんしんと降る厳寒の日でさえ建物内はどこも春のように暖かく維持されます。
日本でも本格的な仕様の外断熱マンションでは、パネルヒーターが設置されているところがあります。
真冬でも暖房ということが意識されないほど快適です。
このようなパネル方式が、最近は冷房でも可能になってきました。
外断熱建物での設置を前提に開発された「配エクセルギ1冷暖房システム」を例にとって紹介しましょう。
このシステムでは、冷房の場合には一五ー二。
℃のぬるい冷水、暖房の場合には二0ー三五℃程度のぬるいお湯(つまり低エクセルギ−冷温水)をパネルにまわします。
ほとんど冷暖低エクセルギー.エクセルギーとは有効エネルギーともいい、エネルギーの資源90性を表現している。
簡単にいえば熱いお湯の方が資源性が高<(多くの仕事をすることができ)、ぬるいお湯は資源性が低い、つまり低エクセルギーである、という。
暖房効果がないのではないかと思うくらいの水温ですが、これを二四時間にわたって運転することで外断熱マンションの躯体が快適な温度になり、室温も快適な状態を維持できます。
必要な動力も少なく省エネになり、環境負荷も光熱費も少なくて済みます。
最近はソーラーや風力による自家発電、あるいは各種の排熱の活用や地中熱利用の試みが行われていますが、このような消費エネルギーの少ない外断熱の建物であればこそ大きな意味をもつでしょう。
また、このシステムでは「水冷媒冷凍機」という、水蒸気を真空で蒸発させて冷やす方法を採用できるので、完全ノンプロンで、環境負荷もより小さくできます。
パイプに冷水を流して空気を冷やすので、除湿という面でどうなのかと思うかもしれません。
しかしこのシステムでも、除湿は可能です。
パネルに冷水を流していると、パイプの表面に空気中の余分な水蒸気が結露します。
パイプ表面に近い空気が冷やされて、余分な水蒸気が水となってパイプ表面に付着するのです。
これがかなりの除湿効果となります。
さらに「リキッドデシカント」と呼ばれる除湿剤(塩化リチウムの溶液に水蒸気を吸わせる)を使った除湿方法もあります。
エアコンと比較したときのメリットは、冷暖房ともにより快適である、ということが一番でしょう。
冷風や熱風を吹出す冷暖房ではなく、空気は自然対流で室内を循環します。
涼しき、暖かきという面では、躯体コンクリートとともに壁や床や家具などが快適な室温に同調しているので、人間の体から熱が奪われるような強烈な感覚がありません。
局部的な涼しき、暖かさではなく、全体的な涼しき、暖かさが心地よきのポイントです。
これに比べると、エアコンはほとんど暴力なまでの「冷暖暴」と感じられることでしょう。
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